豪ドル/円相場は、92円台を中心に底固い展開になっている。オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)が追加緩和に踏み切るリスクが後退する一方、中国経済に対する過度の懸念が後退していることを受けて、安値是正の動きが優勢になっている。依然として豪ドルを改めて買い進むことには慎重ムードが強いものの、90円の節目水準で当面のボトムを確認した形になっていることで、ショートカバー(買い戻し)が誘われている。また、ここにきて中国経済の減速懸念が後退していることも、豪ドル相場に対してはポジティブ。
7月2日に開催された金融政策決定会合議事録では、引き続き追加緩和の余地について言及が行われているものの、通貨安によるインフレ見通しの押し上げに対する懸念が表明されたことで、必ずしも追加緩和は規定路線ではないとの見方が優勢になっている。4~6月期の豪消費者物価指数(CPI)は前年同期比+2.4%となり、市場予測+2.5%を下回った。これは、豪中銀が警戒感を示したインフレ懸念を裏付けなかったと言う意味では、豪ドルにネガティブ。ただ、特に追加緩和が急がれるような環境にもないことで、マーケットの反応は限定的。豪金融政策環境が材料視されづらくなっている。
一方、中国の7月HSBC製造業購買担当者指数(PMI)は6月の48.2から47.7まで低下し、中国経済の減速懸念を改めて高めている。人民銀行は貸し出し金利の下限撤廃を決めるなど金融システム改革に乗り出しているが、実体経済の悪化傾向には歯止めが掛からない状況にある。ただ、中国の李首相が同国成長率のボトムラインを7%と示したことで、更に景気が減速すれば何らかの政策対応に踏み切るとの期待が、中国関連資産に対する売り圧力を限定している。豪ドルサイドからの上昇余地は限定されようが、ドル/円相場の堅調地合と連動して、豪ドル/円の底固さも再確認されると見ている。
今後1週間の予想レンジは、91.00~94.00円。